性的指向と性自認の違い|SOGIと性表現を混同しないために

「同性を好きな人」と「出生時に記録された性別とは異なる性別を生きる人」は、同じ意味でしょうか。性に関する言葉を一つにまとめると、本人の話とは違う理解につながることがあります。この記事では、性的指向・性自認・性表現を分けて整理します。用語の説明は公的資料を参考にし、日常の場面や読み方の提案は編集上の例として記します。誰かの性を判定するチェックリストではありません。

性的指向は「誰にひかれるか」、性自認は「自分の性別」

内閣府のQ&Aは、性的指向を恋愛感情や性的な関心がどの性別に向かうかに関わるもの、ジェンダーアイデンティティを自分の性別についての認識に関わるものと説明しています。ここでは後者を「性自認」と表記します。二つは、答えようとしている問いが違います。

例えば、「女性として生きている」という説明だけでは、その人がどの性別の人にひかれるのかは分かりません。一方、「女性にひかれる」という説明だけでも、話している本人の性別は分かりません。一方を聞いた時に、もう一方まで補ってしまわないのが、区別の出発点です。

性自認は男性か女性かの二択だけで説明できるとは限りません。ビクトリア州政府の用語集には、男性・女性という枠だけでは自分を表さないノンバイナリーなどの言葉もあります。ここに挙げた語は一部であり、すべての人を分類する一覧ではありません。

SOGIは一部の人だけにつける名前ではない

SOGIは、性的指向を表すSexual Orientationと、性自認を表すGender Identityの頭文字を組み合わせた言葉です。内閣府は、性的指向とジェンダーアイデンティティは、少数者だけでなくすべての人に関わると説明しています。

「あの人はSOGIなの?」と人の種類を尋ねるように使うより、「性的指向と性自認についての話なのだ」と読むと、話題を整理できます。自分にとって意識する機会が少ないことと、自分には関係がないことは別です。用語を知る目的を、周囲の人へのラベルづけに置かないようにします。

服装や髪形の好みから、性自認を当てない

服装や髪形などを通して性別をどう表すかは、性表現という観点です。自分の内側の認識と、外から見える表現を同じものとして扱わないことが大切です。ビクトリア州政府の言葉遣いの指針も、外見や固定観念から相手を推測せず、本人の説明を尊重するよう求めています。

編集上の例として、「短い髪だから男性として扱ってほしいはず」「スカートを選ぶなら女性のはず」と結びつける場面を考えてみます。見えているのは髪形や服装であって、その人の説明ではありません。見た目についての自分の連想を、本人が伝えた情報に置き換えないようにします。

同じように、趣味や話し方を集めても答えは出せません。「分からないまま、決めつけずに接する」という選択ができます。身近な人の性について、本人不在で答え合わせをすることも控えます。

交際相手の性別は、その人の全体像ではない

今の交際相手について知っていても、それだけで本人の性的指向を言い切ることはできません。ビクトリア州政府の用語集は、複数の性別にひかれるバイセクシュアルなども説明しています。誰と交際しているかと、自分をどの言葉で表すかを、一つの情報にまとめないようにします。

例えば、本人が自分のことをバイセクシュアルと話している時、「今の相手は異性だから違うのでは」と言い直させる必要はありません。これは実在する人の体験談ではなく、交際の状況だけを根拠に本人の言葉を打ち消してしまう例です。過去の交際人数や相手を聞き出して、説明を証明してもらうことにもつなげません。

分からない言葉は調べ、本人の説明とは分けて読む

記事や会話で知らない言葉が出たら、まず「ひかれる相手」「自分の性別」「外への表現」のどの話かを確かめてみます。読み違いに気づいた時も、相手の説明を細かく問い直す前に、自分が混同していた箇所を整理できます。

例えばメモを二つに分け、「用語集で知った一般的な意味」と「本人が実際に話したこと」を別々に書く方法があります。一般的な説明を読んだだけで、「この人もきっとそうだ」と空欄を埋めないための、編集上の提案です。他人の個人的な情報を記録・共有することを勧めるものではありません。

呼び方を間違えたと気づいたら、短く訂正し、次から本人が使う言葉に合わせます。用語をたくさん覚えること以上に、知識から人を決めつけない姿勢を大切にできます。「まだ分からない」と置いておける余地を残すことも、理解の一部です。